木造住宅の特徴をメリット、デメリット交えて解説!

建築中の木造住宅

年々、鉄骨造の家が増えてきているとはいえ、木造住宅もいまだ根強く人気を博しています。

日本の風土との相性や洒脱な風合いに惹かれてか、新居を木造で建てることにこだわりを持っている方は世相・トレンド云々にかかわらず一定数いらっしゃる印象です。

一方で、いざ検討する際には不安が生じることもあるといいます。

それは、実際のところほとんどの人が木造住宅について、とりわけ構造に関しての知見が少ないあるいは曖昧だからでしょう。

上記踏まえて本記事では、木造住宅の特徴をメリット、デメリットに焦点を当て解説します。

取り上げる内容はおさえておきたい基礎知識の連続です。
が、購入の決め手になり得る目新しい情報も含まれているかもしれません。
初心者の方のみならず、有意義に活用していただけますと幸いです。

木造住宅に関する基本概要

 

木造住宅は、文字通り、壁、柱といった構造体に木材が使われている家を指します。
と、端的に定義づけられる半面、さまざまな切り口や観点で語ることも可能です。
仮に建築工法の種類リフォーム、リノベーションでできることなど深掘りしていけば、木造住宅に対する理解度はグンと高まるでしょう。
当然、実際の家づくりにも役立ちます。

さて、日本では旧来より木造住宅が(家づくりの)主流です。
高温多湿な日本の気候には、木材の吸湿性や通気性の高さが適しています。

いわば日本の一戸建てのほとんどが木造住宅である所以です。
遡れば、寺社仏閣の建設が広く行われたことも無視できません。
その間、木造建築の技術は向上し続け、結果、木造住宅の普及へとつながっています。

杉や檜(ヒノキ)といった木々の香りも特徴であり魅力的です。
他方、一般的には自然災害を受けやすくメンテナンスを怠ってしまうと劣化が進む傾向にあります。
これらは、まさに木造住宅のメリット、デメリットです。次章より具体的に紐解きます。

 

木造住宅の特徴的なメリット

冒頭でも触れた通り、新築に鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造を採用する方々は増えています。
が、全体を見渡すと、現在もなお木造住宅の人気は健在です。
この現象はやはり、木造住宅ならではのメリットが起因しているものと考えます。
一方で、メリットを知らず、ただ何とはなしに木造住宅を避けているのであれば、それは勿体ないことかもしれません。
いずれにせよ、確実におさえておきたいところです。以下、ピックアップします。

 

施工費用を安価に抑えられる

木造建築は、鉄骨造やRC造、鉄筋コンクリート造などと比べるとまず材料が安価な傾向にあります。
加えて、構築剤に対価処理や防錆処理を施すといった下処理や基礎工事に手間が掛からないこともコストダウンを図れるポイントです。
さらには、工期も短く済むため、人件費の削減もできます。
一方で、高額の木材を使用するケースがあるのも確かです。
そうはいってもやはり、(建物構造の住宅坪単価で考えてみても)基本的には木造建築の方が出費を抑えられるでしょう。

自然素材による落ち着きのある空間演出が可能

木造住宅の魅力を語るうえで欠かせないのが、天然の木材を使用していることです。
これによって自然素材に囲まれた、あたたかみのある家が完成します。

木材の香りや視覚へ訴求する癒やしは、体験してはじめてわかる筆舌しがたい快感です。
リラックスするのに申し分ありません。
木造住宅(建築)は、鉄骨、鉄筋系では味わえないまさしくオーガニックな空間演出を可能にします。

 

調湿性に優れている

木材は水分の吸放出、すなわち調湿性に優れています。
高温多湿な日本の住宅にはうってつけです。
たとえば、室内の空気の乾燥を和らげてくれます。
これは、木材のなかに蓄えられている水分が空気中に放出されるからです。
また、湿気に対しても緩和してくれます。空気中の水分を木材が吸い込むからです。
その結果、結露やカビの発生を抑えることができます。

 

断熱性に優れている

木造住宅の建築にしばしば用いられる太い杉や檜(ヒノキ)、椈(ブナ)は、鉄やコンクリートに比べて熱伝導率が低いものです。これは、断熱性能が高いことを指します。
おそらく木材に対しては、燃えやすいイメージを持たれている方も少なくないでしょう。
が、実際のところ、木材の内部は燃えにくく、火災が起きても構造体の中心として残ります。そのため、建物が崩れてしまうリスクは低いのです。
もちろん、重量鉄骨ほどの火災に対する強い性質を持ち合わせているとはいい難いですが、かといって木造住宅が(火災に)弱いというわけではありません。
木は一定以上の厚みになると燃えにくくなります。家づくりで使用する木材は、(その厚みから)仮に火が燃え移っても、基本、表面の炭化にとどまるものです。
したがって、耐火性は十分。決して先入観で不安になる必要はないでしょう。

 

建築デザインの自由度が高い

木造住宅における建築デザインは、基本的には自由度が高いものです。構造上の特徴が、アドバンテージを生んでいます。
木造建築に必要なのは、基礎や柱です。まさにここが軸となり強度をつけて屋根を支えています。
したがって、この部分さえ安定すれば、それ以外は柔軟に設計可能です。

住宅購入後、ライフステージ(の変化)に合わせて間取りを変更したいと考える方は多く見られます。
その際、木造建築であれば上記の理由でリフォーム、リノベーションを比較的容易に行えるでしょう。
希望、理想の間取りへとカスタマイズしやすい木造住宅の性質は、やはり大きなメリットの一つだと考えます。

 

把握しておきたい木造住宅のデメリット

前述の通り、木造住宅は複数のメリットが存在します。が、その一方でデメリットがあることも把握しておきましょう。それぞれ次の通りです。

 

構造上の制約を受ける場合がある

木造住宅はデザイン、レイアウトの自由度が高いことがウリですが、すべての建築工法に当てはまるわけではありません。
具体的にはツーバイフォー工法(2×4工法)を用いた場合、おそらくどうしても取り除けない柱や壁が出てくることになるでしょう。こうした特徴はあらかじめ認識しておかなければなりません。
とはいえ、(木造住宅は)総じてほかの建物よりも間取りの変更や増改築をしやすい傾向にあるのは確かです。

 

メンテナンスを怠ると害虫被害に遭うこともある

自然素材を使用している以上、木造住宅は、(木材を好んで食べる)シロアリなどの害虫被害に見舞われる可能性があります。

確かに木造住宅は、コンクリートよりも修理しやすく、仮に劣化したとしても早めに対処できれば大きな問題にならずに済むでしょう。
また近年は、床下にコンクリートを敷き詰めるベタ基礎の普及によって被害の数自体減ってきています。
が、それでもリスクヘッジは大事です。防蟻点検や薬剤の散布は定期的に行うようにしましょう。

 

自然災害による劣化

鉄骨系、鉄筋系に比べて台風などの自然災害を受けやすい点は、木造住宅のデメリットでしょう。
しかし、繰り返しお伝えしている通り、修理に関しては比較的容易な傾向にあります。このメリットは上述のデメリットを補ってくれる大きな特徴です。
だからこそ、木造住宅を建てる際は、基礎工事から災害対策を視野に入れ取り組んでいくことを推奨します。
たとえば、雨水の侵入を防ぐべく外壁や屋根の強化徹底はもちろん、メンテナンスに関してもコンスタントに行っていきたいところです。

 

職人の施工技術に仕上がりが左右されやすい

木造住宅に使われる木材は、工場で加工しきれないものも多々あります。その場合、職人が現場で対応しなければなりません。
規格寸法こそある程度決められていますが、品質は職人の腕や施工方法(施工会社の方針)に委ねられます。
正直、ばらつきが生まれることは否めません。もちろん、組み立てに関しても同様の懸念が想定されます。
ゆえに、施工会社や職人選びは慎重に行いましょう。
たとえば、費用の安さや工期の短さが魅力的に映ったからといって安易に飛びついてしまうと、失敗につながる恐れが大いにあります。
確かに昨今の建設技術の向上は著しく、ローコストでハイクオリティな木造住宅も珍しくありませんが、最低限の注意、吟味は必要です。加えて、工事期間中も随時、状況確認できるといいでしょう。

 

木造住宅の特徴はメリット、デメリット両方から捉えよう!

木造住宅の特徴を知るのに一方向での視点に偏ってしまうと、いざ建てるにあたってはトラブルを招くリスクが高まるでしょう。実際のところ、事前の認識の齟齬が原因で、ご意向、希望にそぐわない結果へと帰着するケースはしばしば見受けられます。

構造部分に限らず、木造住宅ひいては建築物に対して、一長一短をフラットな目線で把握することは非常に大切です。裏を返せば、メリットを生かし、デメリットに注意を払うことで、安心と納得の家づくりが実現できます。
そういうわけで、木造住宅を建てる際はあらためて拙稿を参考にしてみてください。