世代問わず平屋人気が再燃するなか、実際に建築・購入を検討されている方も少なくないでしょう。
そこで本記事では平屋のメリット、デメリットを取り上げ、解説します。
失敗しないためには、学びが必要です。構造や特徴といった基本概要から魅力的なポイント、注意事項等々、幅広い知識で以て理解が深まれば、安心にもつながります。
ぜひ、参考にしてみてください。
平屋とは?構造、特徴について知ろう
平屋とは、便宜上定義づけるならば1階建ての住宅のことです。
昔ながらの日本家屋がまさに象徴的かもしれません。しかし、近年の状況を鑑みるに、平屋を単に階段が無いワンフロアに収まる空間と一口で括るには、いささか無理があるのも事実です。その多彩さは、各所で年々傾向を強めている印象を覚えます。
たとえば、天井の高さやリビングの広さ、ベランダのつくりなど、構造面だけでも個性を生み出せるバリエーションは豊かです。
また、デザイン性の高さも無視できません。それぞれの家がさまざまなテイストや意匠を凝らした結果、外観はもちろん内装にしても今や実にバラエティに富んでいます。
構造も特徴も、ベースは1層の建築物と捉えて間違いではないものの、年々その解釈は広がりつつあるのが平屋の現状です。間取りを筆頭に自由度が高い点は後述するメリットにも該当し、それゆえ人気を博しているのもうなずけます。
平屋のメリット
それでは、平屋がもたらすメリットについて紹介します。
これら強みは、いわば古今東西、好評を博す裏付けです。平屋を選ぶ決定的なポイントになり得るでしょう。
構造的に安定している
平屋は上の階を支える必要が無いため、かかる負荷(重さ)が少なく、構造上安定しやすいといえます。
そしてこれは、(あくまで比較的とはいえ)耐震性が高いことを意味します。
いつ何時地震が起きてもおかしくないなか、極力ケアしたいポイントです。
2階、ましてや3階以上ある建物の場合、どうしても揺れは大きくなります。
そうした懸念点を払拭するのに、あるいは安心材料として平屋の構造は目に見えて有効です。
容易に屋外へと出られる
地震や火災に見舞われることを想定した場合、屋外に出やすい点もまたメリットになり得ます。
緊急時、状況次第では、必ずしも玄関から外に出られるわけではありません。平屋は基本、空間が地面に続くため、掃き出し窓を使って避難することも可能です。
また、屋外が身近になることで、楽しみも広がります。
たとえば、テラス席を設けてお茶したり、子どもやペットが走り回れるように芝生を植えたりと、日々、自然を満喫しながら暮らせるでしょう。
間取りの融通が利きやすい
先述の通り、間取りの自由度が高い、融通が利きやすい点は平屋ならではのメリットです。
上の階を支える柱、壁が要らない分、平屋では広々としたスペースや大きな開口部をつくりやすくなります。
住まいにゆったり感や開放感を求めるなら、(平屋を選択することを)前向きに検討してみる価値は大いにあるでしょう。
屋根に関していえば、勾配を設けることで小屋裏空間も作れます。軒を深く取ることで遮熱も可能です。このようにして、より快適な暮らしへと導けます。
バリアフリー住宅に適している
バランス感覚が発達過程の小さな子どもや筋力が衰えたお年寄りにとって、階段は危険な場所です。
実際に転落事故を招くケースも少なくありません。
幼児、高齢者であれば、なるべくフラットな家の方が暮らしやすいのは至極当然です。
それゆえ、平屋はバリアフリー住宅に適しているといえます。
移動がスムーズ
生活動線が短くシンプルな平屋は掃除、洗濯など家事全般、すこぶる効率的に行えます。
わざわざ2階に掃除機を持っていく手間もそう、1階で洗濯した衣類をベランダで干すために2階へ持っていきクローゼットに収納すべく1階に戻るといった一連の流れもそう、これらに対してはおそらく無意識的に心理的負荷がのしかかっているかもしれません。一方で平屋だと平面移動で済みます。
その他何気ない日常の動きに関しても、たとえばキッチンや洗面所などの水まわりを回遊式にするといったちょっとした間取りの工夫だけで、十分コンパクト化を図れるでしょう。
家族と顔を合わせやすい
間取りにもよるとはいえ、平屋なら、比較的家族と顔を合わす機会は多いはずです。他方、平屋以外の場合、特に思春期の子どもは部屋が2階にあれば、学校から帰ってすぐに直行することも多いため、彼・彼女たちの気配や様子をうかがうのはなかなか難しいように思います。
自ずと家族間でコミュニケーションが取りやすい環境ができあがっている点は、やはり大きなメリットです。
メンテナンス費用が比較的安く済む
住宅にかかってくる費用は、もちろん建築時だけではありません。そう、メンテナンス代。
外観、内観ともにケアしなければ、年月とともに劣化は避けらないでしょう。
資産価値、そして耐候性を保つためにも外壁修繕、屋根塗装などが定期的に必要になります。
そうしたなか、平屋であれば大掛かりな足場を組まずに済むため、比較的安く抑えることが可能です。
平屋のデメリット
続いて、平屋のデメリットです。つい良いところばかりに目を向けがちですが、だからこそ以下の項目に代表されるリスクについても、しっかりおさえておく必要があります。
床上浸水の際、避難が困難
平屋の場合、水害に見舞われると家全体が水浸しになる恐れがあります。
2階、3階がないため、高い場所に避難できないのはやはりデメリットです。
なお、現在は宅地建物取引業法施行規則の改正につき、対象物件の所在地は不動産取引時にハザードマップの提示が義務づけられています。
それゆえ、ある程度対策を図れますが、豪雨、高潮、洪水等々規模の大きな水害は、結局のところ、場所問わず平屋にとって脅威だといえるでしょう。
日当たりや風通しが悪くなりがち
平屋は、敷地の周辺状況や部屋数次第で、日当たり、風通しが悪い状態を作ってしまいます。
具体的には「外に接しない」「壁面が多いといった」問題が発生するからです。
通行人やご近所の方からの視線にさらされやすい
いわゆるプライベートの確保が難しいのも平屋のデメリットです。
居住空間が1階のみであるために、家での様子が道路にいる人やご近所さんの視界に届きやすくなってしまいます。
建物の坪単価が高くなってしまう
平屋は、同じ延床面積の家を建てる場合、2階建てよりも広い敷地が必要です。
これは、土地代はもちろん工事費のアップ、すなわち建築費が嵩むことも意味します。
なぜなら、屋根と基礎の面積が、たとえば2階建てだと倍になるからです。
したがって、平屋にすると坪単価は上がります。
より快適な平屋にするためのコツと注意点
平屋を建てる際は、メリット、デメリットをうまく生かすことが大事です。
それは、快適な暮らしを送るためのコツであり、失敗しないための注意点だといえます。
具体的に挙げるならば次の通りです。
建蔽率(建ぺい率)に注目する
土地には敷地面積に対する建物面積の割合、すなわち建蔽率(建ぺい率)が規則として定められています。
そのため、敷地いっぱいに家を建てることはできません。
つまり、建蔽率の高さによって同じ広さの敷地でも、建てられる平屋の広さは変わってくるのです。
したがって土地探しは、そのエリアの建蔽率にも注目して行うことをおすすめします。
中庭をつくる
先述した日当たりや風通しの懸念に対しては、中庭を設けることで解決が図れます。
中庭を配し、コの字型やL字型の間取りを採用すれば、平屋とはいえ中心部まで光や風が届きやすくなるはずです。
同様に、天窓やサーキュレーターの設置も効果的でしょう。
ただし、家族の安全や隣接する通路からプライバシーを守っていく観点も踏まえると、中庭をつくることの方がデメリットの解消には、より役立つように考えます。
防犯対策を行う
屋外へ容易に出入りすることができる平屋のメリットは、裏を返せば外からの危険にも晒されやすいデメリットと捉えることもできます。したがって、防犯対策は必須です。
具体的には、防犯ガラス、カメラ、センサーライトなどの導入をおすすめします。他方、つい誤解されがちなのが、家の周囲を塀で囲めば安全だという考え方。むしろ死角を増やすことにつながるため、注意が必要です。
板倉でつくる平屋のすすめ
板倉でつくる平屋には、独特の雰囲気が帯びています。同時に、住み心地としても別格の開放感です。
屋根裏のスペースを確保するにしても、天井・壁はそれぞれ施工せずに済みます。
なぜなら、板倉の平屋は建方(建前)ですでに用意できているからです。
床を張るだけで仕上げられる手軽さに加え、2階建てのように建築面積をコンパクトに設計することも可能。
板倉だからこそ、コストパフォーマンスの高い家づくりが期待できます。
なお、さらに詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
平屋の建築をお考えなら、魅力と注意点、両方知ることが大事!
平屋を建築するにあたって、漠然としたイメージだけで進めてしまうと、予想外の事態に出くわした際、行き詰まるあるいは混乱する羽目になりかねません。
結果的に諸々妥協せざるを得ない状況は、やはり避けたいところです。
見通しが甘ければ、どうしたって失敗につながる可能性は高まります。
そして、そうならないためにも、一面的な理解に終始しないことが大切です。
2階建て、3階建ての住宅にもいえることですが、メリット、デメリットは当然のように混在しています。
魅力、注意点、両方をきちんと知れば、自ずと確固たるビジョンが持てるようになるはずです。
そうやって描くことのできた理想の平屋像は、家づくりを要所で支えてくれるでしょう。