木造住宅のリフォーム、リノベーション~できることや事例、注意点

長い築年数が経過した木造住宅にお住まいで、リフォームやリノベーション、あるいは建て替えを検討している方は少なくないはずです。しかし、これまでそうした機会、とりもなおさず木造住宅において施工・改築を要するケースが無ければ、いざ直面した際、どう手を打つのが最適か決断に困ることもあるでしょう。

本記事では、木造住宅のリフォーム、リノベーションに関する知識が曖昧な方に向けて、主な工事内容から建て替えるべきか否かの決め手、具体的な事例紹介、注意点にいたるまで幅広く解説します。

大局的に理解を深め、適切な処置や進行の判断につなげていただけますと幸いです。

 

木造住宅のリフォーム、リノベーションでできること

 

そもそも木造住宅はリフォーム、リノベーションできるのか、不安な方もいらっしゃるかもしれません。が、もちろん可能です。むしろリフォーム、リノベーションによって住宅の機能性を高められる期待さえ持てます。結果、快適な住まいづくりが実現できるのです。ただし、すべてのケースで当てはまるわけではありません。住宅の寿命と建物の状態を考慮したうえで、適切な判断が求められます。加えて、できる内容をきちんと把握しておくことが大事です。

以下、一般的に木造住宅のリフォーム、リノベーションにはどのようなメニューがあるのか紹介します。

 

間取りを変更する

 

木造住宅のリフォーム、リノベーションでは、建物の基礎となる構造部分を残して、間取りの変更を行えます。

リビングルームやキッチンのスペースを広くすることや、水回りの位置の移動、和室から洋室への大胆な模様替えなども可能です。

 

劣化部分を補強、改修する

 

木造住宅は築年数が長いと特に、至る箇所で劣化が見られるようになります。とはいえ、端から仕方がないと諦める必要はありません。補強や改修を施すことができれば、結果、建物の性能向上にもつながります。すなわち、耐震、耐火、断熱といった機能が強化され、災害に備えられるのです。このことから木造住宅においても、リフォーム、リノベーションは建物の内部保護に役立つといえます。

 

外観を変更する

 

いわゆる外装リフォーム、外装リノベーションによって、木造住宅もまた、外壁や屋根を塗り替えたり、デザインを変更したりすることが可能です。新築さながらの状態へと仕上がっていく過程や、昔ながらの趣が見栄え良くお洒落な雰囲気として醸し出される様子など、木造住宅ならではの醍醐味が感じられます。

 

バリアフリーに対応する

 

木造住宅のリフォーム、リノベーションでは、バリアフリーに対応することもできます。具体的には、門から玄関扉までの道をスムーズにする(玄関アプローチを作る)、門扉の開け閉めが負担にならないよう引き戸タイプにしサッシを外す、階段をスロープにする、浴室に手摺りを設置する、室内外問わず段差を無くす……等々です。

高齢者や身体の不自由な方々が古い木造住宅に住み続けるとなると、どうしても不安が付いて回ります。それゆえ、リフォーム、リノベーションでバリアフリー対応が可能である点は、大きな安心材料です。

 

木造住宅のリフォーム、リノベーションがもたらすメリット

 

築年数の長い木造住宅をリフォーム、リノベーションすることで、建て替えでは得難い、いくつかのメリットが生まれます。いずれも施工を後押しするのに申し分ありません。以下、ご参照ください。

 

歴史や風情を残したまま改築できる

 

木造住宅だからこその風情や、築年数が物語る歴史の積み重ねを踏襲しつつ、今のライフスタイルあるいはテイストに合わせた住まいづくりができる点もまた、メリットと捉えていいでしょう。過去と現在を好いとこ取りしたリフォーム、リノベーションによって、フレキシブルかつ洒脱な風合いが期待できます。

 

建築基準法や立地の問題を気にせずに済む

 

たとえば、建て替えの場合だと法律や条例、道路付けの問題などに悩まされることがあります。実際のところ、漠然と建て替えへと舵を切った結果、こうしたクリアしなければならない関門に出くわす方々は意外にも多い印象です。なかには、住まいを変える計画自体、頓挫されるケースが一定数見受けられます。

対して、リフォームやリノベーションであれば、上述した難点を気にせずに、大抵は予定通りに事を運べます。後々、想定外のトラブルに見舞われることも含め、案じざるを得ない障壁が(比較的)少ない点は、木造住宅におけるリフォーム、リノベーションの大きなメリットだといえるでしょう。

 

費用を抑えられる

 

あくまで費用相場の話とはいえ、(木造住宅に限らずですが)現在のお住まいをリフォーム、リノベーションする方が、新築購入や建て替えよりも出費は抑えられるかもしれません。予算と目的を定めたうえで、リフォームやリノベーションで事足りれば、十分な節約になるはずです。

 

木造住宅におけるリフォーム、リノベーションと建て替えの判断ポイント

 

古い木造住宅に対して、リフォームやリノベーションか、はたまた建て替えか、悩まれる方は多いでしょう。

判断基準を見誤ると、どちらにせよ後悔する羽目になりかねません。先述の通り、法律上建て替えできない場合もあります。そうした事態を避けるべく、以下のポイントをおさえるようにしてください。

 

法律や条例

 

繰り返しますが、法律や条例によっては建て替えできないことがあります。また、建て替え自体は可能でも、現状の敷地面積に対して建物面積を狭くしなければならないといったケースも考えられるため、諸々の条件含めて細心の注意が必要です。加えて、規定の変更や改正も念頭に置いた方がいいでしょう。

つまるところ、まずは建て替えの可否や制約についてしっかり確認することが大事です。

 

土台や構造部分の状態

 

住宅の土台や構造部分の状態によっては、建て替えが必須です。柱や梁の劣化は安全面にて大きな影響を及ぼします。地震などによる倒壊リスクはもちろん、住宅寿命にも関わる問題です。明らかに“痛んでいる”場合、リフォーム、リノベーションでは十分な修繕や補強が難しいでしょう。よくある問題を挙げると、シロアリをはじめとした害虫被害は実に深刻です。木材の腐食は、当然、耐久性に作用します。

したがって、こうした状況下では、建て替えを選択するようにしてください。

 

プロの出す答え

 

プロを頼りにすることは、もっとも無難で確実といえるでしょう。なぜなら、リフォームやリノベーション、そして建て替え、いずれも実際の住宅状況に応じて最善か否かは異なります。そうしたなか、おおよそ素人では判断のつかない状態でも、専門的な知識と技術を持った業者であれば、的確な答えを導き出してくれるはずです。

工事内容、規模によっては費用も変わってきます。

重視する項目は何か。理想の暮らしを実現するのに譲れない要素はどれか。

優先順位とあわせて、プロに相談することをおすすめします。

 

木造住宅のリフォーム、リノベーション事例

 

本章では、木造住宅のリフォームやリノベーションに関する典型的な事例に加え、弊社でのちょっとユニークな実績も紹介します。

 

水回りを使いやすく!

 

リフォーム、リノベーションで間取りの変更を行えば、ゆとりある空間やスムーズな行動経路を生むことが可能です。とりわけ、トイレや浴室、洗面所の配置変換を望む方は非常に多くいらっしゃいます。木造住宅だからこそ、湿気による腐食なども気を付けたいところです。

こうしたニーズの高さからもうかがえる通り、水回りの整備や改修は代表的な施工例だといえます。

 

和モダンな雰囲気湛える空間

 

和モダン空間へのリフォーム、リノベーションは、近年人気の傾向にあります。

「躯体現し(柱や梁などの構造材が見える状態)」の大きな梁、あるいは屋根裏を生かすことで、ノスタルジックかつ洒脱なテイストを醸造。まさしく現代的な意匠であると同時に、木造住宅の魅力を浮き彫りにしてくれる施工様式です。

 

二階建てから平屋へ減築

 

耐震性の強化目的やライフスタイルの変化を背景に、二階建ての木造住宅から減築で平屋に変えるリフォームやリノベーションも存在します。

大胆な施工のように思えますが、決して珍しい事例ではありません。

その際、一階の間取り変更を行うこともできます。

のんびり快適に暮らせるといった声も上がるほど各所、好評を博している印象です。

 

バリアフリー住宅へとシフト

 

高齢者や身体が不自由な方々にとって安全かつ便利な住まいになるよう、老朽化した木造住宅をバリアフリー住宅へとシフトするリフォーム、リノベーションも、最近いたるところで増えてきています。

主な特徴としては、全体の空間はもちろん、各部屋の設備まで改装することです。結果、車椅子でも動きやすい、使いやすい家へと生まれ変わります。

 

コンクリートマンションを木造住宅風にリフォーム、リノベーション!

 

弊社では過去にお客様のマンションを木造住宅風にリフォーム、リノベーションした実績がございます。トイレや洗面脱衣室、部屋の出入口や収納の建具など全て無垢材を使用。外観はコンクリートマンションですが、中に入ると杉の香りが広がります。サプライズとあわせて独特の心地よさが享受できることも特筆すべきポイントです。

以下のページではさらに詳しく取り上げています。ぜひ確認してみてください。

マンションらしくない木造仕様のリノベーション

 

木造住宅をリフォーム、リノベーションする際の注意点

 

木造住宅のリフォーム、リノベーションを進めるにあたっては、注意点を把握しておくことも大切です。先述した建て替えるべきか否かの判断ポイントと重なる部分でもあり、あらかじめチェックしておくことでリスク回避にもつながります。

具体的には、以下の通りです。

 

間取りの変更が制限されることもある

 

住宅構造によっては、間取りの変更が制限されることもあります。たとえば、建物の強度を担保する柱や耐力壁(内部の筋交いも含む)の撤去は、安全面を脅かす行為のため、対応は困難でしょう。つまり、こうしたケースでは希望通りのリフォーム、リノベーションを行えない可能性が高いです。

計画をスムーズに進行させるためにも、お住まいの構造についてはあらかじめしっかり認識しておくようにしましょう。

 

可視領域以外で施工が必要になる

 

仮にリフォーム、リノベーションしたい箇所がピンポイントだとしても、実際の工事は可視領域だけでなく目に見えない範囲にも及びます。

たとえば、キッチンやお風呂などの水回りにしても、給水・排水管、電気配線といった周辺(器具・装置)に対しても目配りが必要です。これらが経年劣化によって漏水、漏電を起こしてしまえば、せっかくのリフォーム、リノベーションが台無しになります。

したがって、表面的な施工によってトラブルを招くことのないよう、視野を広げ、全体最適を意識しましょう。

 

耐震性が損なわれている可能性がある

 

古い木造住宅によくあるのが、(先にも触れましたが)柱や梁の腐朽やシロアリなどの害虫被害です。いずれも建物の強度に大きく関わります。それゆえ、(耐震面に対して)特に注意を向けずに施工を進めてしまっては非常に危険です。リフォーム、リノベーションでは補えないケースも出てくるため、(地震による)倒壊の恐れさえあります。プロへの相談や耐震診断を行うなど、あらかじめしっかりケアしておきましょう。

 

木造住宅のリフォーム、リノベーションを成功させるために!

 

木造住宅で長く暮らしていると、当然老朽化が進み、不具合もちらほら見かけるようになります。その際、慌てずにまずは状況を確認することが大切です。そのうえで、拙稿にてお伝えしてきた内容をぜひ参考にご活用ください。

 

冒頭でも触れた通り、リフォーム、リノベーションで問題ないのか。建て替えるべきなのか。なかなか判断がつかない方もいらっしゃるでしょう。けれども、できることやメリットを理解し、決め手となるポイントや事例にも目を通し、注意点まで把握しておけば、おそらく進むべき方向性は如実に浮かび上がってくるはずです。