平屋の間取り~住みやすいポイントや人気、おしゃれな施工例の紹介など~

最近では若い世代からも注目を集めている平屋ですが、具体的にどのような間取りにすれば良いのか悩まれている方も多いようです。

そこで本記事では、平屋の間取りについて解説します。住みやすい、暮らしやすいポイントや人気、おしゃれといった要素への言及はもちろん、施工例も一部紹介。ぜひ、参考にしてみてください。

平屋の間取りを考える前にまずはメリット、デメリットを確認!

昨今の平屋人気にはいくつもの理由が考えられます。そしてそれらは、至るシーンで見え隠れしています。

たとえば、新築購入にあたって自身が老後の暮らしを視野に入れ、あるいは同居人である幼児、高齢者のことを考えた結果、バリアフリー住宅に適したフラットな平屋に決めるケースです。はたまた、リモートワークが一般化するなかで、仕事場として平屋を用意するケースもあります。さらには、TwitterやInstagram などのSNSを通じてシェアされたおしゃれな外観や内装に惹かれるケースも少なくない印象です。こうした要因によって、若い世代までもが抵抗なくむしろ積極的に平屋を選択する現象がそこかしこで見られます。

 

このように、いまや平屋は世代問わず支持を得ているわけですが、やはり元来備わっているメリットが大きいといえるでしょう。なかでも間取りの融通が利きやすい点は重宝される一番の所以といっても過言ではありません。

2階、3階の建物では上の階を支える柱、壁を使いますが、平屋の場合、それらが不要であるため、その分広々としたスペースや大きな開口部を設けやすくなります。

勾配のある屋根にすれば小屋裏空間も作ることが可能です。また、軒を深く取ると遮熱にもつながります。すなわち、間取り一つで快適に暮らせるようになるのです。

だからこそ、どうすれば良いのか迷う方が多いのでしょう。もちろん、いたずらに設計してはいけません。気を付けなければならない点は当然、存在します。それゆえ、いうなれば平屋のデメリットについておさえることこそが肝要です。

例を挙げると、敷地の周辺状況や部屋数次第では、(漠然と間取りを決めてしまった場合)日当たりや風通しが悪い状態を作ってしまいます。

また、家での様子が道路にいる人やご近所さんの視界に届きやすいことも、懸念すべきポイントです。

平屋は自由度の高い間取りが確かにウリですが、一方で上述の課題をクリアしなければ、なかなか住みやすさや暮らしやすさを感じることはできないものと思われます。

いずれにせよ、前提としてまずは平屋のメリット、デメリットを知ることが大切です。

それらは間取りを考えるうえで、少なからずヒントになり得ます。

なお、(平屋のメリット、デメリットに関して)より詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

平屋のメリット、デメリット~構造や特徴を知り注意点まで学ぼう~

 

平屋で住みやすい間取りのポイント

一口に住みやすいといっても、人それぞれのライフスタイルによって相応の間取りは異なります。そうはいってもやはり、居心地の良さにおいて普遍性の高い設計パターン、ポイントが存在するのも確かです。それらについて以下、いくつか紹介します。前述したデメリットを考慮しつつ、臨機応変に適用させてみてください。

開放的になれるI字型

スタンダードな長方形タイプのI字型にすれば、風通しの良い開放的な空間を生み出しやすくなります。構造上、大広間を作るのに適しているからです。また、庭が窓側にあるよう配置することで外の風景がパノラマ式に見渡せます。のびのびとした心持ちになれるはずです。さらには、生活動線もコンパクトにまとめやすく、家族の気配も容易に感じられるでしょう。

ただし、日当たりやプライバシー保護の面では、本来相性は良くない間取りです。こうした弱点をしっかりケアしながら設計することが求められます。

プライベートゾーンを確保できるL字型

L字型の間取りにすれば、中庭を囲むことで外からの視線を回避できます。また、寝室に代表される個人スペースとリビングなどの共有スペースを縦横で切り分けられるため、プライベートゾーンもしっかり確保することが可能です。

一方で、外気の影響を受けやすいため、空調機器の調整を要する場面が比較的多くなると思われます。また、生活動線も後々困らないようあらかじめ配慮したうえで設計することが望ましいです。

プライバシー保護に加え、光や風も通りやすいコの字型

プライバシー保護はL字型よりも強固で、なおかつ中庭に面して開口部を設けるなどして室内に風と光を入れやすくできるのがコの字型の間取りです。中庭を眺めやすいことからもガーデニングに興味のある方であれば、もってこいの環境だといえます。

他方、建物の形状が比較的複雑である分、コストが掛かりやすい側面は否めません。そのため、必要とする設備以外のいわば無駄になる要素を削がねばならない場面も出てくるでしょう。

多くの部屋に自然光が行き渡るロの字型

平屋をロの字型にすれば、四方を完全に囲んだ庭を作ることができます。この間取りによって(中庭の)中央から光や風を取り入れることが可能です。結果、多くの部屋に自然光が行き渡るようになります。

外部から部屋の様子を一切見られないようにでき、また、建物間もスムーズに回れるため、何かと便利でしょう。

気を付けたいのは、中庭にものを設置する場合です。事前に搬入しておかなければ少々厄介な作業になりかねません。また、コの字型でも同じことがいえますが、水はけにも注意が必要です。建物の下に湿気が溜まるとカビやシロアリが発生しやすくなります。

 

平屋でおしゃれな間取りのポイント

平屋の間取りは自由度が高い分、突き詰めて意匠を凝らさずともワンポイント追加するだけで小粋な空間に仕立てることが可能です。

というわけで、おしゃれな間取りを望むなら、以下の要素を検討してみてください。

中庭を設ける

おしゃれな平屋の定番要素ともいえるのが中庭です。主にL字型やコの字型、ロの字型の間取りにすることで作れます。敷地全体が風情な印象に覆われるとともに、移り変わる四季の景色を家の中から眺めることができる贅沢もまた感慨はひとしおです。ガーデニングや植栽など行えば、その風景はさらに趣深く映るでしょう。

ウッドデッキを設ける

リビングあるいはダイニングルームから地続きとなるようウッドデッキを設ければ、おしゃれな雰囲気もさることながら開放感が一気に増します。間取りに対して、狭いのではないかと懸念される場合、特におすすめです。

ウッドデッキの活用シーンはさまざまで、家族団欒のスペースに使えれば、屋外さながらにアウトドアを楽しむこともできます。もはや、ライフスタイルそのものがおしゃれになっていくといえるでしょう。

ダウンフロアリビングにする

ダウンフロアリビングとは、リビングの床の一部に段差を付けた空間のことです。オールフラットな平屋にメリハリをもたらし、立体感を生み出せます。

つくりがおしゃれであることに加え、ベンチのように腰掛けられる点もメリットです。憩いのスペースとして機能しやすいと考えます。

大きなワンルームにする

法律上、高さに縛りがない平屋だからこそ、スペースを最大限に生かしていきたいものです。当然、おしゃれにもつながります。たとえば、いわゆるLDKの間取りに当たる大きなワンルームにすることで広々と洒脱な印象を作れるでしょう。この場合、いっそのこと勾配屋根をそのまま天井代わりにしてもいいかもしれません。

 

 

平屋で人気の間取りのポイント

平屋のニーズが高まるとともに、間取りのバリエーションは年々広がりを見せています。

そうしたなか、とりわけ人気を博すパターンも少なからず確立されているように感じられます。

以下、あくまで一例とはいえ、比較的採用されることの多い間取りのポイントです。

屋根裏を利用して収納スペースを確保する

収納スペースの確保を重視される方が、平屋の場合、特に多く見られます。広めのシューズクロークやウォークインクローゼットなどが象徴的です。とりわけ、近年目立つのは屋根裏の小部屋でしょう。8畳ほどのスペースが設けられ、季節外れの服やゴルフバック、買い物用カート等々の荷物を置くために利用されています。

玄関は北向き、リビングや寝室は南向き

北側に玄関を配置し、リビングや寝室、その他子ども部屋などのいわゆる生活スペースを南向きにすることで、窓から明るい日差しが差し込む開放的な間取りになります。

庭への動線や過ごしやすさをより加味し、この間取りにウッドデッキを加えるご家庭もよく見られます。

すべての部屋に窓2つ

間取りは配置や構造だけでなく、当然、機能性も求められます。

特に風通しや日当たりの良さは、どうしたって無視できません。

そうしたなか、平屋はスタンダードなI型だけでなく、L字型やコの字型、ロの字型も同様にニーズは高いといわれます。プライベートゾーンを確保しやすい点もさることながら、やはり風や光を取り入れやすいつくりだからでしょう。実際、すべての部屋に窓が2つ以上設けられている平屋は多く、快適に過ごしたいがゆえに重視されるポイントであることがわかります。

 

 

住みやすく人気でおしゃれな平屋の施工例

ここまでお伝えしてきたポイントを踏まえて、具体的に施工例を挙げていきます。

機能性とおしゃれ要素をバランスよく融合!

丹羽郡扶桑町にある機能性とおしゃれ要素のバランスが取れた平屋住宅

子育て、家事、収納のしやすさは、多くの方が望む条件です。実現するにはシンプルな動線設計、そして屋根裏のスペースをいかに設けるかがカギを握ります。そのうえでウッドデッキやダウンフロアなども加えられると、おしゃれな風合いが増すことでしょう。

 

心地よい中庭に囲まれた落ち着きある空間

中庭に囲まれ、風通しや採光も申し分ない一宮市の平屋住宅

こちらは、一見シンプルな間取りですが、トイレも含めた部屋一つひとつのスペースが広いため、ゆったりとした印象をもたらしてくれます。木造との相性が良いことも利点といえるでしょう。“一年中快適かつ落ち着いて過ごせる”と好評を博す間取りです。

 

課題の収納を間取りで改善!

ライフスタイルの課題や不満をもとに間取りプランニングを行った津島市の平屋住宅

コチラのお宅でテーマの一つとなったのは“収納”です。「玄関で上着を仕舞う」「帰宅時に着替える」「お風呂上りで着る」など用途ごとに分けて服を収納するスペースが作られています。

また、同様に家族の絆も重視されたポイントです。皆が近くに感じられるよう「リビングやキッチンが家の真ん中にくる」「子どもたちが自分の部屋に行くときの動線上で必ず顔を合わせる」といった工夫が間取りの設計において施されています。

 

 

平屋の間取りには、多角的な視点が大切!

平屋の間取りについて迷われるのは、おそらく決め手を見極めるポイントが曖昧だからではないでしょうか。あるいは重視する要素に漏れがないか心配なさる方もいらっしゃいます。拙稿にてお伝えした内容は、いずれも基本事項とはいえ、方向性を定めるには少なからず有効です。そのうえで多角的な視点が問われます。ただ住みやすさや、おしゃれ、人気だからという理由で安易に設計してしまっては後悔する羽目になりかねません。メリットの裏にあるデメリットへの目配りも怠らず、総合的な判断の下、あくまで(家族も含めた)自身にとっての最適解を目指すようにしてください。